はねず踊りが行われる3月、梅を愛でに訪れました。ときの東宮であった任明天皇の寵愛を受け、華やかに都で過ごしたであろう小野小町。その後、宮仕えをやめた彼女が、この小野の地で「晩年」をすごしたといわれにいます。
ですが、伝えられるところによると、小町が戻ってきたのは30才すぎ。そこから77才で没するまでの間が、もし本当に「晩年」とよばれるものだとするならば、現代の私たちからは想像を絶する長さだったのではないかと思います。
その間、「百夜通」でよく知られる深草少将とのエピソード、百人一首できっとだれもが知っている「花の色はうつりにけりないたづらにわが身世にふるながめせしまに」の和歌をのこしました。さらに、能の《菓子洗小町》《卒都婆小町》《通小町》という題材になって知られるようにもなり、もはや1000年以上。
絶世の美女だった、若く華やかなときと、長い晩年を40年近くすごして、白洲正子さんの著書では何度も「老いさばらえた」と表現されるほどの、老婆になってからの小町。
人生のはかなさを詠った彼女が、いまではこうして伝説もまじえながら永遠に生きつづける存在になったというのも、ますます興味がひかれます。
梅の木は、樹木としては100年以上の寿命があるそうです。と同時に、「桜切る馬鹿、梅切らぬ馬鹿」という故事があるように、剪定での手入れも必要です。梅園では、小ぶりな木々に咲くかわいらしい梅花を、すぐ目の前で見ることができます。これからも長く受け継がれていくよう、訪れる私たちも大切に鑑賞したいですね。
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